患者さんとの関わり方について
精神科の患者さんは精神が不安定であるため、細心の注意を払いながら対応する必要があります。信頼関係を構築してスムーズに治療を進めていくためにも、精神科の患者さんとはどのように関わっていくべきかを紹介していきます。
安易に共感しない
医療現場に限らずコミュニケーションを重視する場面においてよく使われる「共感」という言葉ですが、むやみやたらに患者さんに共感するのはあまりおすすめできません。中には「このつらい気持ちが分かってたまるか」という感情を持つ患者さんもいます。そのため、安易に共感するのは避けましょう。基本的には患者さんの気持ちに相槌をうつ感覚で接してください。そのなかでわからないことがあれば、問い詰めるようにではなく言葉を繰り返すように聞いてみましょう。そのようにすることで反感を持たれずに患者さんの持つイメージとこちらのイメージをすり合わせていくことができます。
イメージのすり合わせが不十分でお互いに見ている景色が共有されていない場合、例えば患者さんが「(症状が)つらい」と言ったとして、看護師が「(入院生活は)つらいですよね」と誤った思い込みで返してしまったら、そこで認識のずれが生じてしまい後々の治療に悪影響を及ぼします。そのような事態にならないよう、患者さんの背景をしっかり理解してなぜそのような気持ちになっているのかを理解するように努めましょう。
空気感が大切
コミュニケーションというと「会話の中でどのような言葉を使うか」といったイメージを持ちがちですが、「自分と相手との間にある空気感」も大切です。具体的には、声の高低やリズム、表情、視線、仕草などが空気感に影響します。同じ言葉でも、これらの要因によって印象がかなり変わります。そのため、可能な限り患者さんに対して侵襲的な空気を作らないように意識してください。相手と目線を合わせて柔らかい口調を心がけるだけでだいぶ印象は変わります。安心感を持って治療に取り組んでもらうことが重要なので、広い心を持ち相手を受け止める気持ちで取り組みましょう。
焦らない
患者さんの状態が不安定なときは、それが精神疾患によるものか薬の副作用によるものかを考えましょう。もし薬による身体疾患が要因となって状態が安定していないのであれば、原因が分かっているので冷静に対処することができます。そして、ゆとりをもって対応すると相手も安心します。もし症状の原因がわからず焦って対応してしまうと、その焦りが患者さんにも伝わってさらに不安定な精神状態に陥ります。そのため、焦らず落ち着いて接することが大切です。